塗装に使用する塗料のひとつに「セラミック塗料」があります。セラミックという名前から、なんとなく丈夫そうに感じ、新しい時代の塗料のようなイメージをもつかもしれません。まだあまりなじみのないセラミック塗料について、どのような特徴やメリットがあるのかを解説していきましょう。

セラミック塗料とは

いろいろな種類がある外壁塗装の塗料ですが、それぞれの名前についている素材が成分として配合されています。ですからセラミック塗料ならもちろんセラミック入り、配合されている成分のひとつがセラミックです。

食器などにもセラミック製のものがあり、確かにセラミックは陶磁器・焼きものという意味があるのですが、セラミック塗料を塗ったら陶磁器のようになるというわけではありません。

配合されているセラミックは、イメージと違うかもしれませんが砂や砂利のようなものです。いろいろな種類があるセラミックからどれを選ぶのか、パウダー状にするのか細かく砕くのかなど、組み合わせることによってさまざまな種類のセラミック塗料がつくられています。

セラミック塗料のよくある誤解

砂、砂利、焼きもの、陶器などのイメージがあることで、セラミック塗料はほかの塗料よりも丈夫で劣化しにくいようなイメージをもつのではないでしょうか。セラミックの特徴として、耐熱性に優れており、硬く、紫外線にも強くて汚れにくいというメリットもあります。

そのような性質をもつ塗料ならさぞかし丈夫で長持ちするに違いない、そう思うかもしれません。しかし塗料自体がセラミックでできているわけではなく、あくまでも原材料のひとつにセラミックが含まれているということです。

セラミックを配合することで、それぞれの効果があるのは事実ですが、万能で長期間劣化しない塗料ではないということを覚えておいてください。また、セラミック塗料の耐久性については、配合されるセラミックの種類が関係するのではなく、配合されている樹脂によって異なります。

塗装を施工する業者が、セラミック配合の塗料を選ぶと配合されていないものよりも長期間劣化しない、とすすめてくるかもしれません。しかし、そのような事実はないので、その業者は怪しいと疑ったほうがいいでしょう。

セラミック塗料の種類と効果

種類がいろいろとあり、その種類によって効果が異なります。どのような種類、そして効果があるのかを見ていきましょう。

断熱効果が期待できるエコな塗料

配合されているセラミックが独特な形状になっている、断熱効果や遮熱効果が期待できる塗料です。特殊な形状とは、非常に細かいセラミックの微粒子の中が空洞になっているもので、これを塗料の中に混ぜ込んでいます。

この空洞があることで真空状態を保つことができ、熱伝導率はゼロになることで、外壁に塗装すれば高い断熱効果が生まれるため、冬は暖かく夏は涼しく過ごすことができるようになります。

また、太陽光の紫外線を反射する遮熱効果があることで、日差しの強い夏でも建物が受ける熱の上昇を抑えることもできるでしょう。

汚れがつきにくくなる塗料

特別なセラミックのビーズを配合した塗料を使用すると、塗布後にセラミックの成分でコーティングされます。コーティングされた層には親水性があり、雨などの水分がくっつきやすくなり外壁に汚れが付着しても汚れを洗い落としてくれます。

外壁は意外と汚れがつきやすく、落とすのも苦労することがありますが、塗装により汚れにくい外壁になるのでお手入れもラクチンになるでしょう。

見た目がおしゃれになる塗料

外壁を石材調に、おしゃれな外観になる塗料もあります。細かいセラミックの粒子を配合した塗料を塗ることで外壁が天然石のように見えるのですが、天然石を外壁に付けるよりもずっと軽く、外壁や躯体に負担をかけることがありません。

より本物に近い仕上がりの天然石を使用したセラミック塗料もありますが、こちらも微粒子なので軽く負担がかかりません。ただし、石材調仕上げにするセラミック塗装の場合は、技術がなければ施工できませんし手間も費用もかかります。

セラミック塗料の選び方

自分が希望する機能や、外観を石材調にしたいなど希望する条件で塗装を選ぶこともできますが、価格や耐久性についても考えることが大切です。価格の面では、断熱性・遮熱性や低汚染性などの機能にすぐれているものなら、そのような機能をもたない塗料よりも高くなります。

また、石材調の塗料なら施工料金が高くなることも忘れてはいけません。

耐久性は含まれている樹脂によって異なる

塗料の主成分、使用されている樹脂の種類によって耐久性が異なります。耐久年数が短い順に「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」です。もっとも多くの家の外壁に使用されているシリコンは、耐久年数が約7～10年になります。

耐久年数が短いものは価格も安いですが、価格を安く抑えられても耐久性がないので頻繁に塗り替えなくてはなりません。数年単位ではなく数十年単位で住み続けるマイホームなら、トータルでコストを考えることも大切でしょう。

まとめ

メリットがいろいろあるセラミック塗料ですが、選ぶのはセラミックの種類だけでなくベースとなる樹脂素材にも注目してください。塗装業者にすすめられることがあるかもしれませんが、万能な塗料ではなく一般的な塗料と同じように劣化していくので、長持ちして安心できるとは限りません。セラミック塗料についてしっかりした知識と確かな技術をもつ、信頼できる業者に施工を依頼するようにしてください。

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